自分自身で自治体や寄附金額、そして返礼品を決めることができる「ふるさと納税」は、地方特産品をはじめとする返礼品が貰えるだけでなく、所得税や住民税の控除を受けることができるお得な制度です。
様々なメディアで返礼品について取り上げられたり、確定申告についても条件を満たせば「ワンストップ特例制度」という便利で簡単な申告方法が可能になったりしたこともあり、年々この制度を利用する方も増えました。
しかし便利な制度にも注意点はあります。ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告が不要になるからといって、必要な手続きを忘れていませんか?
ワンストップ特例制度は条件を満たせば利用することができ、そして確定申告が不要となる便利な仕組みですが、それでもふるさと納税後に何も手続きがいらないわけじゃありません。
今回はふるさと納税の「ワンストップ特例制度」について、必要な手続きや申請期限について解説していきます。
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ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」とは?
ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」とは、確定申告を行わなくともふるさと納税の寄付金控除(税金の控除)を受けられる仕組みです。
寄附金の一種であるふるさと納税は、本来1年間に行った内容(書類)を自らまとめて確定申告によって自治体へ申告することで所得税や住民税が控除されます。
寄付金控除だけならそんなに複雑な手続きではありませんが、自分自身で書類をまとめて所轄の税務署に提出するのは面倒という方もいらっしゃると思います。
そこで作られたのがワンストップ特例制度。
ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税した自治体から寄付者の住所地である自治体へ、寄付者の代わりに「ふるさと納税(寄付金控除)」に関する情報を共有してくれます。
ふるさと納税の申し込みから寄付金控除の手続きまでの窓口が一元化される、それがワンストップ特例制度。これによって確定申告が不要になるというわけです。
ワンストップ特例制度の流れと利用条件
続いて、ワンストップ特例制度の流れと利用条件を説明します。
申請の流れ
- 寄付先の自治体から「申告特例申請書」が届く
- 寄付先の各自治体へ「申告特例申請書」と「本人確認書類」を送付
申請の流れはこれだけです。
1年間に寄付した実績を取りまとめて申請する確定申告と違い、ワンストップ特例制度は各自治体へ寄付ごとに書類を送付する流れになります。
ワンストップ特例制度の利用条件
ワンストップ特例制度はとても便利な制度ですが、誰でも利用できるわけではありません。
- ふるさと納税以外の理由で確定申告をする必要がない方
- 1年間にふるさと納税した自治体が5つ以内の方
ふるさと納税によって納税する自治体が1年間で5つ以内であったり、ふるさと納税以外に確定申告が必要となる理由が特になければ、ワンストップ特例制度の利用条件が満たされます。
このようにワンストップ特例制度はお得なふるさと納税をより手軽に利用できる制度です。条件を満たしているなら積極的に利用しましょう。
ワンストップ特例制度の申請方法
いくらワンストップ特例制度が便利とはいえ、手続きがゼロというわけではありません。ふるさと納税した後に、寄付した自治体へ「申告特例申請書」を提出します。
必要書類は「申請書」と「本人確認書類」
ワンストップ特例制度の必要書類は(1)申告特例申請書と(2)本人確認書類の2種類です。
1.申告特例申請書
申告特例申請書は、ふるさと納税を申し込みする際に希望すると納税先の自治体から郵送されてきます。
書類は住所・氏名・生年月日などの個人情報、自治体への寄付年月日や寄付金額などを記入するだけなので簡単です。
2.本人確認書類
ワンストップ特例制度では次の3パターンを参考に本人確認書類を提出しましょう。
- マイナンバーカードのコピー(両面)
- マイナンバー通知カードもしくは住民票(マイナンバー記載あり)のコピー
- 以下の書類から1つ、顔写真が表示され氏名・生年月日・住所が確認できるようにコピー
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- パスポート
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- マイナンバー通知カードもしくは住民票(マイナンバー記載あり)のコピー
- 健康保険証・介護保険証・年金手帳など、提出先の自治体が認める公的書類2点以上のコピー
書類を準備したら各自治体へ提出
ワンストップ特例制度の申告特例申請書に記入したら、本人確認書類を添付して寄付した自治体に郵送しましょう。
申告特例申請書と添付書類は「寄付ごと」に自治体へ郵送しなければなりません。例えば1年間に同じ自治体へ2回寄付した場合には、申請書と必要書類を2度郵送します。
なお、自治体からの書類発送タイミングは自治体や時期によっても異なります。ふるさと納税のお礼の品だけ先に届いて、申請書類が後から届いたりもするので、一緒に届かなかったからといって焦ることはありません。
ただし書類をいくら待っても届かないようであれば、総務省HPからプリントアウトすることも可能です。総務省がアップしているPDFをプリントアウト(ふるさと納税サイトでも同書類をダウンロードできたりします)し、提出期限に間に合うよう郵送しましょう。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000351462.pdf
※そもそもワンストップ特例制度の利用条件を満たさず確定申告が必要な方は、申告特例申請書を提出する必要ありません。
申告特例申請書の提出期限は年明け1月10日!
ワンストップ特例制度の申請期限は翌年1月10日です(必着)。仮に5つの自治体へ寄付した場合は、5つの自治体全てに対して1月10日必着で申告特例申請書を提出しなければなりません。
万が一、申請期限に間に合うよう書類を提出できなかった場合には、ワンストップ特例制度ではなく確定申告が必要になります。
ちなみにですが、そのまま確定申告まで忘れてしまうと税金の控除自体を受けることができません。つまり、ふるさと納税の寄付全額が自己負担になるということです。
ワンストップ特例制度の申請方法や申請期限まとめ
ふるさと納税のメリットには、生まれ育った地元など応援したい自治体に寄付できること、そしてその寄付に対するお礼の品が貰えたり、税金の控除などがあります。
しかし、実際にふるさと納税を申し込みして返礼品が届くと、どうしても残っている手続きを忘れてしまいがち。せっかくのお得な制度を正しく活用するためにも、忘れないうちにこうした事務手続きを完了させてしまいましょう。
とくに今回ご説明した「ワンストップ特例制度」は申請期限の締め切り日に要注意です。年始早々に期限ですので、できれば年末までに申請を済ませておくことをおすすめします。
もしも期限に間に合わない場合には、以下の記事を参考に確定申告を行いましょう!